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日曜劇場で生理がテーマに。中高生も婦人科へ!

*以下、日曜劇場「御上先生」第1話、第6話、第7話のネタバレを含みます。ご容赦ください。

 

松坂桃李さん主演のTBS日曜劇場「御上先生」。第6話(2月23日放送)と第7話(3月2日放送)では、「高校生の生理」がテーマになりました。


 

松坂さん演じる御上孝は、東大卒で文部科学省のエリート官僚ながら、左遷のような扱いで異動させられ、官僚派遣制度により進学校の私立隣徳(りんとく)学院高校3年2組の担任教師として赴任しました。

 

第6話では、椎葉春乃(吉柳咲良さん)が養護教諭の一色真由美(臼田あさ美さん)の目を盗んで保健室から多量の生理用品をブレザーのポケットに忍ばせるシーンがあり、その姿を目撃した一色は御上先生に相談。後日、面談で御上先生から体調を聞かれた椎葉は、女子の友だちにも言いづらい生理のことを男の先生に聞かれるのは心外だと強い口調で反論しました。

 

椎葉は幼稚園のときに両親を交通事故で亡くし、和菓子屋を営む祖父母に育てられてきましたが、祖父が認知症を患いお店を閉めるようになったことから経済的な責任を負うことになり、学業のかたわら複数のバイトを掛け持ちしていました。また祖父母の介護のためにヤングケアラー(本来大人が担う家事や介護などを日常的に行っている子どもや若者)として多忙な日々を送っています。

 

そして第7話で椎葉は、ドラッグストアで代金を支払わずに生理用品を持ち帰ろうとして一時的に店側に拘束され、連絡を受けた御上先生が彼女を迎えに行きました。お店の控室で御上先生と2人きりになった椎葉は、もともと生理が軽い方ではなくPMS(月経前症候群)がひどいことを打ち明けます。気分がイライラしたり、わけもなく涙が出たり抑えられなくなるので、生理がまた来るのかと思うと不安だという率直な心情を伝えたのです。

 

後日、退学処分を受けることになった椎葉はクラスの前ですべての事情を話しますが、それを聞いたクラスメートが退学処分撤回のために校内署名運動を展開、椎葉の退学は免除されました。

 

祖父が営む和菓子屋では以前、赤飯も作って売っていました。椎葉は初潮を迎えた時に祖父母から赤飯でお祝いをされ、そのおかげで女子にとっては大切で正義のようなものだと信じていた生理が、いつの日からか辛いだけのものになってしまったと悲しみます。

 

人懐こいクラスメートの次元賢太(窪塚愛流さん)は、「ここで乗り遅れたら男ども一生乗り遅れる案件なのでちょっと気合い入れてみた!」と言って立ち上がり、みんなに行動を促します。それを受けて生徒たちは各々、「まずは調べるところからですね!」「放課後PCルームに集合しよう!」と動き出したのです。

 

後日、椎葉の和菓子屋を訪ねた男子生徒の1人が言いました。

 

「椎葉が勇気出してくれたから、分かったことがたくさんあった。女子はもちろんだと思うけど、男子にとっても大切なことだった。みんなそう思ってる…




 

長い間、日本では「生理」をオープンに話すことは「恥ずかしい」ことで、社会的にタブー視されてきました。女性の生理は個人的なことではなく、ドラマの中で次元が言っていたように、男性も含めたみんな、すなわち社会の案件です。生理は隠すことではなく、みんなで分かり合うことです。

 

人はみな、母のお腹から生まれてきたし、今後も子どもは女性のお腹からしか生まれてきません。

 

椎葉のように生理が軽い方ではなかったり、PMSがひどい場合は、気軽に産婦人科クリニックを受診してください。医療費支払えるか不安に思う方もいると思いますが、約1,740ある自治体のほとんどで未成年(18歳でも、12月までの生まれなら翌年の3月31日まで)の医療費が無償化されています。自治体によっては親の所得制限があったり、無償化の対象年齢が15歳以下や12歳以下等の違いはありますが、椎葉のように生理の悩みを抱えている学生のみなさんは、ぜひ産婦人科クリニックを受診してください。低用量ピルの処方など、適切な治療を受けられます。診察代のみならず、医薬品も無料になる場合がほとんどです。詳しくはお住まいの市区町村の役所にお問い合わせください。




 

近年、生理の貧困という社会問題が提議されています。問題にしなければいけない根本は「生理用品を買えない」という経済的な問題よりも、「月経(生理)はあたりまえのもので、女性にとってはなくてはならないもの」的な考え方だと思います。医学的にも科学的にも、そして社会的にも「おかしくはないか?」ということを、あらためて考えてみるのはいかがでしょうか?

 

低用量ピルは、ひどい生理痛や月経随伴症状に悩む女性のみならず、そうした症状をあまり感じない方々にとってもメリットのあるお薬です。ピルを内服すれば妊活期間以外は排卵を抑制することができ、月経(生理)を経験しないでより健康な日々を送ることができます。生理痛や貧血、PMSや子宮内膜症等の予防や緩和につながるだけではなく、長い間卵巣や子宮を休ませて卵子を温存することで、いざ妊活に入る時にアドバンテージを得られる可能性が高まると言えます。

 

「御上先生」の第1話(1月19日放送)では “Personal is political(個人的なことは政治的なこと)”と、御上先生が兄から教えられた言葉を生徒たちに問いかけます。ドラマはこのキーワードがテーマになって進み、日本の相対的貧困率が先進7カ国中最下位という現実や社会格差、生理の貧困、ヤングケアラーの問題、そして教育行政の問題やその権力構図にも踏み込みました。映画「新聞記者」などで知られる詩森ろばさんの脚本で綴られる「御上先生」の最終章に向けた展開が、今後楽しみです。

 

Women's health is the social issue.”

女性の健康は社会の問題です。






2 Comments


Guest
Mar 07

日曜劇場で「生理の問題」が話題になり、問題解決に向けて男子生徒たちが協力する姿を見て「時代は本当に変わってきたんだな」と感じました。


母の時代より私の時代、私の時代より娘の時代が、女性にとって暮らしやすく自己実現を可能にできる社会になってるのは間違いないと思います。

もっともっとピルなども一般的に使いやすい社会になりますように!!


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コメントありがとうございます!

男子生徒たちが「生理の問題」に当事者意識を持ち動く姿は、一昔前では考えられない描写でしたね。

ピルが普及すれば、椎葉のような生理に悩む女性が少なくなると思います。

価格面やイメージ面など、ピルを活用するハードルが下がることを願うばかりです。

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